カタチノトビラ

「カタチノトビラ」に寄せて

一本の線の両側を(周囲を)行ったり来たりしながら描いています。
一つのフォルムを形作るというよりも、否定しながら逆にその反対側にあるフォルムを導き出す作業。
実際の制作も、決まったフォルムを視覚化するために描いておきながら、
すぐに削りにかかることも前提にしています。
優先順位が絶えず変化しているとも言えます。
線によって隔てられた二面はいつしか融合したり、位置関係が逆転したり、
そんな不安定な要素をはらんだ探求に、今は興味がつきません。
特段にとりたてて申し上げるべきことではないでしょうが、
フォルムを紡ぎだす誰しもが意識していることですが、
一本の線の両側...といっては無理があるくらい無限の可能性を秘めたその周囲に、
あらゆる関係の可能性を探ってゆきたいと思っています。

この場の二人の関係にも似ています。
何時の間にか長いおつき合いになりました。

2006417   五十里 雅子